2010年3月4日木曜日

えいご③

旅行で米国に滞在するとき一番面白いと思うのが市井の人々の会話である。
僕はけっこう地獄耳なので、関係ない人々の会話内容がかなりの割合で耳に入ってくる(日本でも)。

電車の中で、酒場で、ストリートで、あるいはホテルのロビーで。。

今回は滞在中に
「I'ma bust'a up his ass!!」(あいつのケツにイッパツかましたるわボゲェ!)
なんてのを初めて生で耳にしたりしたよ。

古式ゆかしい街ボストンにもギャングスタ・ビアッチはいるのね。

まあそんなサグいセリフじゃなくても、特にジョークの類いはおもろい。
たとえば今回聴いたのが

"Why did the fried chicken cross the road?"
  "It saw a fork up ahead."(ぎゃはは)

というもの。

これはもちろん

"Why did the chicken cross the road?"
  "To get to the other side."

というスーパークラシックの変奏だが、それを知っていなければなんのこっちゃだろう。
アメリカンジョークはただのすべり笑い芸ではなく、無い機知をムリヤリひねり出しつつ過去の傑作にも敬意を払う愛すべきカルチュアだと思うのだが、どうか。

ゆーて実際は、道を歩いていて冗談を耳にする率がそんなに高いわけじゃ、そんなわけはないんですけども。
でもそういうの聴いてニヤニヤしてたからあーあーキモイ東洋人がいるわって思われたかもね。
すべての差異を呑み込むブラザーフッドの国だけど、やあっぱアジア系はちょっと蔑視されてると思うのね。
Mad TVでも、アバクロンビー&フィッチの店で最初は「俺たちはイケメンの白人しか雇わねーんだよー」って黒人差別してたんだけど、結局黒人は文化的にも政治的にも強い社会集団だから雇わざるを得なくなって、みんな迎合して黒人みたいな喋り方になって、最終的にはアジア系を差別するようになるというオチのエピソードがあったし。
「パンダエキスプレス(米大手中華料理チェーン)にでもいっとけや〜〜」ってね。
そうだそうだ全部PRCが悪いんだ。とか言っちゃダメだよ。
でも、アメリカでもオーストラリアでもシンガポールでもそうだけど、現地の中国系の人々に中国語で話しかけられる瞬間は少し「イラー」とくるイラッモーメントですよ。
オイラ日本人なんですけども。
もっとイラッとくるのは、中国語を話せる中国系以外に中国語で来られた時ね。
向こうは気を使ってるんだろうし、まあPRCには全地球の20%の人口がいるわけだから確率的には合理的な行動かもだけどよ。
失礼やろがー!と、不思議にも不寛容な自分に気付く瞬間でもありますな。
この辺が、多民族国家でアジア系同士がイマイチ連帯できない理由なのかしら。。わかんないすけどね。
米ではユダヤ人もヒスパニックもアフリカ系もみんな仲良く協力して暮らしてるのに。。


閑話休題。
僕の今回の旅行の第一の目的は一応NBAの試合を観ることで(いつもの如く!)、まあばっちりTDバンクノースガーデンていうアリーナで地元のセルティックスの試合を3コ観てきたんだけども、実際アリーナに行くと、試合始まってしばらくすると船漕ぎ始めるおじーちゃんとかいるわけですよ。
ダフ屋経由で入手した年間チケットホルダーの放出品でクラブシートとってたから、割と定価は高めの席なので、ベテラン・バスケット・ファン風のおじいさんたちも周りには結構おられたのです(凄く年期入った渋ーーーいチームアパレル製品とか着てたり)。
で、まあその人たちはどうせ年間チケットで来てるから目の前で繰り広げられているスーパープレイもjust one of those thingsって感じで、うたた寝タイムに入っちゃったのかもしれないですけどもね、日本からはるばる来ている身としては、「もったいなくね???!!」という感想を抱かざるを得なかった。
そんな人がタイムアウト中にオーロラビジョンに映されて失笑を買ったりとかしたりしてそれはそれで面白いんだけど、うーん、やっぱMOTTAINAIと思った。

しかしですね、まあある程度はうなずける話なのですよ。

冒頭のジョークにも登場したフライド・チキンやBBQチキン、フレンチ・フライド・ポテト、ピザ!、ステーキ・サブなどなど、アリーナで売っている食事には脂っこい強力なアメリカ的食品が多い。
もっとも、メキシコ料理というややヘルシーな(それでも日本食に比べたら・・・という感じだが)逃げ道も残されてはいるのではありますが。

で、そういうグリーシーなソウルフード系のものを食べると発生する眠気のことをズバリ言い表すスラングに

ITIS

というのがありまして。

お腹いっぱいご飯を食べたあとって、
「あーこのまま寝かせてー」と思うくらい、体もいい感じにポワワーンとして眠くなりますよね。
そういう状態をitisと呼ぶのです。

僕がこの単語を初めて知ったのは、確かDave Chapelle's Showのいちエピソード。
バーベキューソースに浸かったスペアリブが薬の容器の中に入っている映像が登場し、
「RIBSは、アメリカでナンバーワンの睡眠薬」
という、インチキながらも的を得たコマーシャルのスキットで同語が出てきました。

「ひとたび消化されると、RIBSのバーベキューソースと油ギッシュな豚肉が胃の中に広がり・・・creating an age-old condition called the ITIS(昔からあるアイタスと呼ばれる状態を作り出します)。体がだるくなり、すぐに眠りにつけるでしょう。」
と、アメリカの薬のCMにありがちな囁き声系の女声ナレーションが説明していました。

つまりこのITISとは、消化器に負担のかかる脂っこい食事をとることにより、胃に血液が集中して脳の血流量が相対的に下がり、眠くなってしまう現象を指すわけであります。
これをよりダイレクトに表現したfood comaも、itisの同義語(こちらもスランギー)。

こんな表現がわざわざあるくらいだから、TDガーデンのおじいさんの居眠りも、まあ仕方ないかということになりますかね。
彼がソウルフードを食べていたのかどうかは定かではないけども。

また、たびたびこのブログでも参照してきているアニメ "Boondocks"にも、"The ITIS"というエピソードがありましたな。
ここでノンカットの映像を見ることができます。

これは、グランダッド(おじいちゃん)がソウルフード・レストラン『The Itis』をオープンし、それが数々の問題(肥満、怠慢、etc.)を引き起こす・・・というお話。

余談になりますが、『The Itis』の看板メニューは「The Luther」という特大のベーコンチーズ・バーガー。
普通のベーコンチーズバーガーとの違いは、パンのかわりにKrispy Kremeのドーナツを使っているところ(!!!)。
しかしこのLuther Burger、ただのジョークかと思っていたら、、、


なんと実在しました(笑



調べてみるとジョージア州ディケイターのミリガンズというバーで発祥したもののよう。
さすがデブ超大国。バカすぎるw
油分&糖分&塩分の三冠王!なこのバーガー、食べたらすぐにダルくなって爆睡(pass out)確実ですな。


さて、このitisですが、実際に使う時は、

I got the itis(お腹いっぱいで眠い).

というように、必ず"the"をつけるようです。
けっこうみんな使ってる言葉だと思うし知っていると便利な表現ではあるよね。

しかし日本人が使う時は気をつけなければならないのであーる。

僕も今回旅行中にアフロセントリックな友達に"itis"の使用をたしなめられました。
ははは
僕は英語を話していると、普段よりさらに輪をかけて失言が増えるのですわ。
でもね、英語の場合は失言しても、

"Was it that loud?"

と、フレンズのチャンドラー風に切り抜けれるからokよね。もちろんokじゃないときもありそうだけどもやで。

実はitisは、その昔はNワードと組み合わせてN-----itisというように使われていたそうで、
「黒人は怠け者」
といったような人種差別的意味も含まれていたらしいです。

"~~itis"というのは、

meningitis(髄膜炎)
appendicitis(虫垂炎)
tonsillitis(扁桃腺炎)

といったように、「炎症」を表す接尾辞です。
つまりNワードにitisをつけることで病名らしさを演出し、
「たらふく食べたあとで眠くなる黒人の病気(人種に関係なく眠くなりますが)」
という意味で、ブラック・ピープル同士が自虐的なジョークとして使ってきたものなのだそうな。

今では非ブラックの人が使っても(without the N-word of course!!!)差別としては見なされないようですし、友人の中には「全然問題ないじゃん!」という人もいます。
しかし件の彼のようにいやがる人もいるので、意味だけ知っておけば十分なのかなー



たまに反省
でもなんて楽しい
英会話

(字余りしまくり)

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