2014年8月27日水曜日

新深澤本(本の感想

『日本の女は100年たっても面白い。』深澤真紀(2014)


今や日常会話に欠かせない語彙となった「草食男子」「肉食女子」の名付け親である深澤さんの著書だし、タイトルが女子カルチャー研究の新しい決定版ぽかったので手に取ったがイマイチな内容だった。

基本的なコンテンツとしては、明治から平成まで連なる個性的な女性たちの系譜を追っている。
そのうえでアキンド女(eg. くらたま)、サムライ女(eg. 香山リカ)というカテゴリを導入し整理を試みているのだが、わざわざ分類したわりに系譜のレベルまで落としこめていないし、個々人の周辺の社会文化環境に関する情報が薄いのでバイオグラフィーの単なる羅列にしか見えない。

ライトエッセイとして読めばまた違う感想になるかもしれないが、こういった題材を扱うならもう少し文化風俗論的に突っ込んだ考察がほしかったところ。

ただし、巻末についている用語集は皮肉が利いていておもしろい。

2014年8月21日木曜日

キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャーが思いのほかおもろかった件



お盆は米国ニューハンプシャー州に出張していたのですが、飛行機の中で見た『キャプテンアメリカ:ウィンターソルジャー』
が非常に印象に残ったので記しておきたい。

(ちなみにボストン成田直行便にはB787が再び運用されるようになっております。便利になりました。内装的には椅子とかトイレが新しいです(小並))

キャプテンアメリカといえば、キャラデザが控えめに言ってもクソだし(コスが星条旗って・・・)、戦い方が基本的に殴る蹴るなので日本のヒーロー物的けれん味とか皆無であり、アホ映画としても期待値は相当低くならざるを得なかったのですが、いやこれは、まったくもって、ただのアホ映画ではなかった!!!

あまりにも印象的だったので復路でも見てしまった。



最近のアメコミ映画はただのエンタメにとどまらない、むしろ漫画原作だからこそ実現可能なカリカチュアとして成立・機能している作品が多いように思う。

X-MEN First Generation、Dark Knight一連の作品、Watchmen等・・・
人気漫画の映画化というだけで制作費はとれるので、 かなり攻めたプロダクションが可能ということなのかな。


今までキャプテンアメリカの過去作もアベンジャーズも見たこと無いのであまり知らなかったのですが、キャプテンアメリカはもともと、第二次世界大戦中に米国の国威高揚を目的として作られた漫画をもとにしているらしい。
参考→wikipedia

大戦時、ものすごく愛国心が強くて陸軍に入りたくてしゃーなかったけど、モヤシすぎて検査をパスできなかった青年がスーパーソルジャー計画という極秘実験の被検体になって超人血清を注入され、超人的な身体能力を手に入れた姿というのがキャプテンアメリカ(ロジャース大尉)ということのようだ。
ちょっとウルヴァリンぽい設定。こういうの好きなんか?アメリカ人


だから設定的にも、大戦後ずっと冷凍保存されてたってことになっていて、実年齢は95歳である。


本作ではそんなアメリカンパトリオティズムの鬼子とも言えるキャプテン・アメリカが、その愛国心の強さゆえに米国の敵になってしまう・・・という姿が描かれる。

一部ネタバレになってしまうが、下敷きになっているのは明らかにニクソン政権下のウォーターゲート事件だろう。



キャプテンアメリカが所属する諜報機関であるSHIELDの本部がウォーターゲートビルのすぐ脇に立っているというのが示唆的。
また、もっと最近の話で、NSAのエドワード・スノーデン事件も明らかに背景にあると思う。

さらにさらに、これは見てもらえばわかると思うのですが、最も直接的に批判されているのが昨今の米軍の中東におけるドローン運用問題です。劇中では、「ヘリパッド」という架空の新兵器でprecautionaryにテロリストの抹殺をする計画が立ち上がるのですが、これはまさしくドローンそのものだなと。
「これは自由ではなく恐怖をもたらす」と言ってキャプテンアメリカも反旗を翻すわけです。


こういう、主人公(公務員)が奉職する政府の中枢こそが悪の枢軸というネタは24なんかでもありましたけどね。
アメリカ人にとってリアルで深刻な問題なのかもしれませんね。

2014年8月6日水曜日

スパルタ婚活塾(読書

ついに出たワァ。。という感じ。笑

代沢恋愛総研ではこれまで明示的に取り上げてきていなかったが、現代の恋愛理論を語るうえで欠かせない水野敬也氏の著書を、もちろん私は渉猟してきている。

中でも、ウケる技術、美女と野獣の野獣になる方法 は、単なる(男向け)モテテク指南に留まらない、人とうまくコミュニケーションをとり、円滑な人間関係を築くために使える心がけが詰まった素晴らしい教科書だ。

ま、何より読み物としておもろいので未読の方は是非読んでいただきたい。



そんな水野敬也氏がついに女性向けモテテク教科書を上梓された。


うーむ・・・やはり笑える。おもろいなぁ水野さん

見出しや文章がおもろいのは当然として、ページの切れ目でオチをうまく引っ張ったりといったレイアウトの工夫も相変わらず素晴らしいクオリティ。

全編水野節炸裂で、ネタ的な部分もありつつ(いや、かなり比率としては高いか)、珍しく男目線から書かれた女性向け恋愛本ということで、婚活女子にとってはかなり実用的と言えるのではないか。

女性が意中の男に好かれるためのありとあらゆる小手先テクニックを構造化し、まとめあげた著者のインテリジェンスに乾杯だ。


「コミュニケーションはサービスである!」と徹底してとらえ、
    ↓
意中の人のニーズを踏まえたうえで、
    ↓
予定調和を崩していくことにより、
    ↓
相手に楽しんでもらう


以上のことを基本哲学としているのは男向けの水野流恋愛術と同じ。

ツッコミマスターとなれ!
という部分も、ウケる技術と共通している。
自分の役割を理解し、コールアンドレスポンスを意識していくことは会話術全般においてすごく大切だと思う。

また、

「執着分散理論」→「仮氏理論」
「逆に理論」→「ライフ・イズ・ビューティフル理論」

といった、美女と~ で語られていた男向けモテテクの変奏も散見される。


つまり出会いから交際、結婚に至るまでのプロセスに必要とされるコミュニケーションの基本は、男女でそんなに変わらんということだろう。

ただし、男女の決定的な違いとして、女は「待ち」が基本で、男性から声をかけられるのもデートに誘われるのも交際を申し込まれるのも、すべて受身で実施していかなければならないことの難しさは繰り返されている。
自分から行くと、価値を下げることになってしまうからだ。

この本でも一部で自分から能動的に行くストロングスタイルも紹介されているものの、全体的には声をかけられる確率、デートに誘われる確率、交際を申し込まれる確率、プロポーズされる確率をあげるテクニックの紹介が大半だ。

ところで、タイトルにも含まれている「婚活」というワードは、社会学者の山田昌弘氏がAERAで使ったのが最初らしいが(参考:「「婚活」の時代」(山田昌弘・白河桃子、2008))、その後各種マスコミのあおりを受けて、最近ではこのワードが用いられる際、男性を経済的指標に還元して商品化し、「肉食系」「狩猟系」の結婚活動を行う女性たちが常にクローズアップされるようになっているように思う。

マスコミにより変形させられた婚活イメージが人口に膾炙した結果、女性全般に対する恐怖を抱いて、女性に積極的にアプローチできなくなっている男性もいるのではないか。

本書でも、婚活ブームから派生した専業主婦礼賛イデオロギーや、男性総人口の数パーセントに過ぎない玉の輿に乗ることの理想化を否定していないし、むしろそちらを目指せ!貪欲に!妥協せずに!と書かれている。(笑)

しかし、基本的には女性側からハンティングすることに対しては否定的なトーンで、前のめらず、男が追いかけてくるのを待て、というのが大原則である。

これを敷衍すると、やはり女性はアプローチを待っている!ということで、男性にも勇気を与えてくれる本なのではないか。

いやぁ、女子は大変や。(ひとごと)