2010年1月11日月曜日

オッサニズム宣言

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ジム・ジャームッシュの映画『コーヒー&シガレッツ』の中でイギー・ポップはトム・ウェイツにむかって「俺たちはシガレッツ&コーヒー・ジェネレーションだよな」と語りかける。

2010年代に入った今、映画の中のタバコは私立探偵やブロンド・レディの粋な小道具じゃなくて、トラブルまみれのシングルマザーが台所でバカァー吸う、とか負け犬感を増長させる小道具になってしまっているように思う。

そんな時代にあってさえ、「シガレッツ&コーヒー」という言葉が良い意味で似合う左京区在住の天才ギタリスト宮●哲夫とわしが友人関係であることは、これから書くことと無関係ではない。


わしはなぜか自分より若い人と話すのが苦手だ。
実の弟とすらまともに会話ができない。
サークルの後輩とも、話が盛り上がったためしがない。
いや、先輩や同輩の皆さんも、「お前とは馴染めないわ」とか思っておられるかもしれないですけれどね。

何が言いたいかというとわしは生まれたときからオッサンなのではないかという可能性である。
わしが、自分はオッサンなんだなぁ、と思うのは、(ジャズ系以外の)普通の音楽好きと比べてやたらジャズが好きなのを自覚するときである。

ジャズはリバイバル流行がキテるとか言われてるが、実際CDを買ってる奴はそんなにいないと思う。
みんなカフェでカフェるときやラーメン屋でラーメニングするときの心地よいBGMぐらいに思ってるのさ。
ジャズ系にいたらわかんないけどね。
きょうび西陣VINCENTのママも、「ジャズは終わったよ」とか言いながらナベサダの『カリフォルニア・シャワー』なぞかけてる。

わしは1987年生まれだが、初対面の同年代と話すときジャズ好きを公言することはまずない。
まったく話が広がらないし、オッサンぽいと思われるのが嫌なのだ。

だが、誰がなんと言おうと、ジャズ観照は快感である。
ジャズを聴く快感は、ロック、ラップ、R&B・・・その他のポピュラー音楽を聴くのとは全く違う。

ちがうけどここではその快感をのべるのはよしとく。
長くなるから。

要するにジャスは、失礼、ジャズの名演は、筆舌に尽くせない。

ただ、気持ち良い。

評論の入り込むスキは(本来は)ない。

ただただ、体に染みるんだ。

メッセージなんてモノはない。

ただひたすらグルーヴィなんだ。

あえて言うと、わしはジャズを聴くと、自分がちょっと不良っぽい、アウトローになった気はつかの間なっているかな。
この辺が、わしがジャズを聴いていてオッサンだな、と気付くところでもあるんだけど。


わしがジャズを聴くようになったのは、高1の暑い夏。
ヒップホップ大好き少年だったわしは、ある日Pharcydeの"Oh Shit"という曲のトラックに耳を奪われた。
そこにサンプルされていたのはDonald Byrd (tp)の"Beale Street"だったのだが、ジャズを知らなかったこい少年にとって、まじでこれのカッコ良さは、肉屋のオヤジに鶏と間違えられて捌かれそうになったほどだ。

そのオリジナルソースをゲトってからというもの、バード、ハバートそしてリー・モーガンの日々。

そう実はわしのジャズ原体験はトランペットだったのだ。意外だろ。

まあマーカスミラーとかその前から好きだったし、ベースも弾いてたからフュージョンとかファンクとか聴いてたんですけど、全然高校の友達と趣味が合わなくて。。
当時はメロコアとかスカパンクとか全盛でみんなハイスタマンセーだったのに、一方わしはと言えば、ウォーキングベースラインの作り方がわかったとか、マーカスのこれこれの曲が弾けるようになったとか言って喜んでいた輩なのだ。

音楽仲間とかできるわけなかったー。
(ヒップホップとかR&Bの話をする友達はいたけどな)

しかしそんな高校時代、同い年で唯一ジャズを聴く友達がいた。
渡辺有希(仮名)。

そこそこ賢い公立高校のバスケットボール部員だった彼女とわしは、県大会の会場でテーブルオフィシャルが同じでたまたま出会った。

男子校に通っていたわしは当時ほとんど女性に免疫が無かったが、渡辺とはどういうわけか籠球でなくジャズの話で意気投合した。

父親の影響でジャズを聴くようになったという渡辺とわしはCDを貸し借りし合う仲になり、試合会場以外でも会うようになった。
お互い、周りに共通の趣味を持つ知人がおらず厭世観を感じていたのか、わしらは異常に気が合った。

だが渡辺は当時わしをメンズとしては評価していなかったようだ。
学年が上がってもわしらは友達だったが、会うたびに渡辺は新しい彼氏の話をした。
共通の知人たちは渡辺ヤリマン説でしきりに盛り上がってた。

ははは。しかしわしが見たところ、どうやら渡辺は性に関して奔放というより、惚れっぽい気質だったようだ。
その証拠に、わしは当時渡辺とそんなムードになったことは全くなかったから。

高校を卒業しわしは広島を離れ、渡辺とも疎遠になった。

どーしてんのかなーと思うことも無くなっていたが、最初に再会したのは卒業から2年後。
ありがちなんだけど、広島市の成人式で会ったのね。
わしは渡辺がまだジャズを聴いているというのを知ってすごく嬉しかった。

出身中学校も違うし、そのときはひとことふたこと交わしてそれだけだったんだけど、さらに2年を経て、どういうわけかこの前年末に帰省したとき二人で会うことになった。
ちょっと気まずい感じで夕食をとりながら近況報告したらすっかり昔の空気に戻り、相変わらずのジャズ談義で盛り上がった。

店を出てから、せっかく酒も飲めるようになったんだしということで、渡辺が教えてくれた流川のジャズバー「サテンドール」で飲みなおすことにした。

お酒に強い渡辺は飲めば飲むほど素敵な女になっていった。
それに顔立ちも派手で背が高く、欧米にかぶれたわしから見ても身のこなしがイカしてる渡辺は、ほの暗い間接照明の中スツールに腰掛けてグラスを傾けてる姿が最高にサマになってた。
わしも調子に乗って安バーボンのボトルをおろした。

けれど夜は短く、そんな渡辺とわしのつかの間のロマンスも、粉雪ちらつく流川の曙の中に消えていった。

別れ際、アリスガーデンを歩いて一息つこうと座ったベンチで渡辺が口ずさんだ、"It Could Happen To You"のメロディが耳にいつまでも残った(今も残ってる)。

彼女はジャズが好きな、惚れっぽい、素敵な女。
4月からは市内で小学校教諭になるという。


わしはジャズを聴きながら大学時代を過ごし、またひとつオッサンになったんだな。と思った。

わしは今、ジャズの話を交わせる仲間に囲まれている。
ジャズ系の人ってみんな大学生だけどどこかオッサン(オバサン)で、垢抜けてないけど不良な感じなのかもしれない。
ありがとうございます。
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6 件のコメント:

  1. It Could Happen to Youって
    めっちゃ深い歌詞だよね。
    小説の一場面のような話やね。

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  2. 実はIt could happen to youって自分では音源を持ってなくて、みんながセッションでやるから何となく知ってた曲なんだけど、今は凄く好きなスタンダードになった。
    歌詞の内容を知るとスタンダードってより深まるね。うむ。

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  3. うーん、ちょっと、詩っぽいではないの。ステキやねん、
    粉雪がちらついた辺りがムーディですわ><ww
    私はジャズ、好きだなって思うけど、さらりとする「好き」だなぁ。
    でも、茶道とかは、無条件で興奮するかんじの「好き!」だから、
    そのへんの感覚はなんとなくわかる気がするよ~。

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  4. まあ普通にききながしてるときもあるけれども、たまにガツンとくるんですよね。
    これはね、ジャズが一部の人には世代を超えて愛され続けている理由だと思うよ。
    本当に好きなことがあって幸せだと思う。

    あ、そういや言い忘れたけど、コーヒーおいしいです。ありがとう^^>natsuquiさん

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  5. ひゅー

    そんなこいさんに惚れたぜ!

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  6. そんなこと言ってもiPodは譲らん笑

    今週もセソンでIt could happen to uやろー

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