2012年4月3日火曜日

ミントンズサイファー(本の感想です

日々が過ぎるのが本当に早い。
こないだ年が明けたと思ったらもう4月である。
本当に時間の流れに置いていかれるというような感覚すら覚える。


そんな中、中山やすきさんの『ジャズ・ヒップホップ・マイルス』を読んだ。(漸く

タイトルは実にwktkさせるものだし、ジャズやヒップホップやマイルス・デイヴィスが好きな人や興味がある人は読んで面白いもの・・・・・かもしれない。

内容はというと、ジャズとヒップホップの共通性や、いかにして後者が前者の文化的系譜に連なるものであるかということを、マイルスを特異点として参照しつつ論じている。
しかし正直、細かい特徴の類似性などをぱらぱらと述べているだけで、議論はとっ散らかっているという印象を禁じ得ない。

筆者はヒップホップの本質をその批評性やメッセージ性に見出しているのだが、ジャズはインストで演奏されることが多いので、そもそもポリティ的な議論に回収するのは難しいだろう。
それだけに、ジャケ写分析や細かな資料分析に基づくジャズミュージシャンの政治的行動の実例がいくつか枚挙されているが、やはり音楽本である以上は楽曲もネタにしてほしいところ。
また、批評性にヒップホップのエッセンスを見出すのは、著者がヒップホップ音楽を完全にギャングスタラップ以降のイメージで語っていることの証左である。
ヒップホップはジャズ同様、そもそものはじまりはダンス音楽であり、したがって批評的な内容のラップや闘争性/暴力性が本質ではおそらく、ない(あくまでひとつの意見だが)。

かと思えばジャズへのリズムマシンの導入などテクノロジーの話や、ジャズをBGMとしたポエトリーリーディングの話などが始まり、話がよくわからなくなっていく。
ポエトリーリーディングについて言えば、ラップの源流のひとつではあろうが、ヒップホップ音楽における歌唱スタイルとしての現在のような形でのラップが定着したのは、ジャマイカ音楽の影響が強いというのが通説ではなかったか?
また繰り返しになるが、ラップはなくてもヒップホップは成立する。

さらに筆者はジャズをラップに接近させた功労者としてマイルスをあげているが、この理由も不明確だ。
個人的には、おそらくジャズとラップが真にクロスオーバーできたのはもっと近年になってから、ロイ・ハーグローヴ(tp)やロバート・グラスパー(pf)といった「ヒップホップ世代のジャズミュージシャン」たちが大成してからだと考える。
まあマイルスが今生きていたらRHファクターみたいなことをやっていたろうという気はするがw
即興性や反復の重視など、ジャズとヒップホップに共通する要素は多く、親和性は強いと思うが、ふたつが音楽的に美しく融合するには結局ヒップホップの音楽としての洗練を待たざるを得なかったということだろう。

完全な私見だが、やはりジャズとヒップホップはまったく別な音楽で、このふたつを親子としてリニアな関係を語ることは難しいと思う。
従兄弟・・・・くらいの関係にはあるのかもしれない。
サンプリングという文化(ジャズももともとは古いシャンソンなどを土台にしている)、ジャムセッションとサイファーの相似性や、技術的な洗練とポピュラリティのトレードオフ、ラテン音楽からの影響などのアナロジーを徹底して語ったほうがよっぽど面白いと考えられる。
しかしそのあたりは、ジャズとヒップホップ両方が好きな人ならば自ずと気づくポイントだから、書籍化するまでもないのか。
その辺を語った本があるなら、誰か教えてほしいですww

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