2010年5月19日水曜日

My Favs⑪



"Dreyfus Night In Paris"(2004)


Kenny Garrett (as/ss)
Bireli Lagrene (g)
Michelle Petrucciani (pf)
Marcus Miller (b)
Lenny White (ds)





聴いていると、演奏者の姿が目に浮かんでくるような録音こそ、名演なのだと思う。
菊池成孔は『アフロディズニー』(2009)で、ニューメディアの登場による芸術鑑賞のドラスティックな変容と、それに伴う消費者の視聴覚の分断、そして前世紀を通した再統合について論じた。
そのなかで菊池は、視覚と聴覚のアシンメトリーな関係に注目し、「目を閉じることはできても耳は閉じられない」と、聴覚の本来的な優位性を強調していた。
MTVとマイケル・ジャクソンが世界を席巻して以来、われわれの音楽消費スタイルは、シングル曲とセットにして叩き売られるプロモーションビデオに端的に表象される強烈な視覚イメージとの「強シンクロ」状態を定常とするような、視覚と聴覚の再統合を超えて(菊池のいう)それらの原初的ハイアラーキーをも転覆させてしまうような構造を獲得したといえよう。

このような時代にあってさえ、真の名演、特に(映像つきでない)ライブ録音を耳にするとき、われわれの聴覚はそれが持つ本来の力を取り戻し、ヴァイナル製レコードが登場したばかりの時代のメディア体験が再生産されるのではないだろうか。


94年真夏のパリ。
これ以上ない豪華なメンバーによる一夜限り夢のセッション。


映像など必要ない。

目を閉じれば瞼の裏に名手たちの姿が踊る。

マーカスが目配せでソロ回しの指示をだしたり、即興が盛り上がった場面でギャレットがあの動き(笑)をしたり、ペトルチアーニがドラムソロ中にピアノのフタを閉めたり(笑)。。

息づかいまで聞こえてきそうな生々しさは"We Want Miles"にも通じるところがあるが、こちらはもっとさわやか系の演奏。
全員が演奏を心から楽しんでいる様子が伝わってくる。



言ってしまえば上手い人たちがただジャムっているだけの録音なのだが、3曲で50分28秒、きっちり楽しませてくれます。

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