2009年12月3日木曜日

My Favs⑤

昨日の朝はAlicia Keysが行った世界エイズデーのチャリティライブがYoutooobeでニコ生的な感じで生放送されるってんで、早起きして見てました(熱狂的ファン)。

こういうライブをネットで生配信する試み、最近は増えてきたみたいだけど、やっぱり世界中の人たちと(パケットに分割され端末に送られデコードされるというプロセスを経ていても)「いま・ここ」を共有できるのは素晴らしいと思いました。
しかもlive webcastでリアルタイムでつぶやけるという。まさにニコ生。さすがにコンサートホールとまではいかなくても、世界中のみんなでリビングのTV前に集まってわいわい言ってる感じですね。アーキテクチャの生態系のリアルタイム性は加速するばかりです。マンセーーー

ショー自体もすごく良かった。アリシアさんはなんといってもMCが良いよね。あの、曲と曲の間だろうが曲中だろうが終止観客に語りかけている感じがすごい好き。真似したいよ。
新しい曲もいっぱいやってたけど、良い曲ばっかじゃないっすか!これは新作買うしかないなー

つーことで、今日はMs.A KeysのCDの中でも僕が一番お気に入りの"The Diary of Alicia Keys" (2003)を紹介しようー。



もう洋楽好きの中2とか含めてたいていの人が知ってる有名なCDだろうけどよー

僕はこれは、ガチで流行る前にリアルタイムで買って聴きました。帰宅してイライライライラしながらCDケースのビニール剥いて、スチャっとプレイヤーにセットして、再生ボタンを押した次の瞬間から「これはクる!!!」と思ってたのは軽く自慢です。
もーメッチャ好きです。当時はあまりCDをたくさん持っていなかったので、繰り返し隅から隅まで聴いてこれのことはもう知り尽くしてまさ。
高1の時、経済力がなかったのでbmrとかblastとか買えなかったから、タワレコのフリー誌であるBOUNCEを愛読していたのですが、確か2003年12月号の表紙と特集がこのCDだったんすよね(とっとけばよかったなー)。
で、読んでみるといろんな有名なライターの人が絶賛してたから、これは買うしかない!と思い、なけなしの日本円をはたいた。
当時はR&Bにはまりかけって感じだったけどもうこれ聴いてからドップリでした。
すごいツボったわけです。

アリシア・キーズのR&Bシンガーとしての新奇性について、よく言われていたのが、

「ヒップホップ世代で生粋のニューヨークっ子ながらも、クラシックの素養と端正なソウルマナーを兼ね備えている」

っていうことです。
90年代以降の北米メジャーリーグR&Bは、最新鋭のヒップホップサウンドを取り入れた所謂「ヒップホップソウル」というやつが主流でして、まあネオクラシカルソウルとか、あるいはジル・スコットやアンジー・ストーンみたいなオーガニック一派がいたりとか色々オルタナティヴも存在したけど、基本はメアリーJブライジ的なイケイケギラギラブリンブリン路線がど真ん中だったわけですね。説明しにくいけど。

で、そこにネオクラシカルとは別の文脈で現れた自作自演派がアリシア・キーズだったわけですわ。ブリンブリン系とは違うけどヒップホップのビーツも自由自在に乗りこなせるしラッパーとの絡みも余裕。しかしピアノも弾けて作曲もできる賢人音楽家である、という独特なヴァーサタイル・キャラ。さらにbling blingなヒップホップソウルの世界観と一線を画すピュアリティも兼ね備えている彼女の音楽は、メアリーJ以降大きなイノベーションが起きていなかったオーセンティックR&Bの歴史を新たな局面に突入させることになった!

そう、とにかくピュアなんすよね。歌詞が。
基本がド派手な世界、しかもしっとりしたラブバラッドでも、なんか劇画調の恋愛模様が多い90年代R&Bだったけれど、Aliciaの歌詞は朴訥だけどめっちゃ染みる。
凡人のわれわれでも共感できる内容なんすよね。しかも全部がイイっていう。英語も簡単だし、スラングとか全然使わないしこの人。
まあこういうのってシンガーソングライターの基本要件なのかも知れないっすけど。

とりあえずそれは置いといて、さらに00年代初頭と言えば、(Nasのアルバム紹介のエントリにも書いたけど、)ブラックミュージック界はこぞってback to basicsブームだったんですよね(同じ時期にブルーアイドソウル一派からは超イナたいジョシュ・ストーンが出てきたりさ)。つーことで70's回帰の時流の中担ぎあげられたのがたぶんこの人だったんだろう。確かにピアノを弾きながらR&Bを歌うというスタイルはマービンやレイ・チャールズを思わせますよね。
実際"The Diary of Alicia Keys"で聴けるのは、当時売れっ子中の売れっ子だったカニエ・ウエストのオールドスクールなプロダクションが冴えわたっているサマである。知ってのとおりカニエは真正の音楽オタクであり、マニアックな古いソウルやブルースの早回しネタ使いで有名。
そんなルーツミュージック好きの蟹江とがっちりかみ合ったんだからそれは、伝統的ソウルの継承者とも呼びたくなるよ。

では、件の「端正なソウルマナー」とはなんなのだろう?
アリシアキーズを形容するときには連発される言葉ながら、その正確な定義を見たことは未だない。

ので自分で考えてみた。
結論を先取りすると、たぶんここでいうソウルマナーとは端的に「サビメロを自分で歌うスタイル」のことだと思う。
考えてみてほしい。メアリーJ以降、具体的には93年以降のメジャーリーグR&Bでサビのメロディをちゃんと歌っている人物あるいは曲はどれほどあるだろう?もちろん探せばいくらでもあるだろうが、圧倒的に多いのが、サビのメロディはバックコーラス(あるいは本人の声別どりオーバーダブ)に任せて、本人はアドリブをとるというスタイルではないだろうか?
ライブなんかでは特に、1番は全く歌わず、2番からテキトーにアドリブというパターンが多いと思うのだが。

これってまあさっきからずっと名前が出てるMary J.Bligeっていうまあ僕もかなり好きな部類のR&Bシンガーが主流にしていったスタイルで、実は極めてゴスペル的な流儀なわけですよ。一番盛り上がるところのメロディはクワイアに任せて、ソリストは延々オブリを歌うっていう。

その一方で、アリシアさんは、たとえば"The Diary~"からカットされたシングルの"You Don't Know My Name"、"If I Ain't Got You"、"Karma"とか、あとなんだっけ?笑
・・・とかにしても、全部サビまでちゃんと自分できっちり歌っているというわけですわ。もちろんライブなんかでは、盛り上げるためにサビメロから離れることもあるけど、基本は自分で歌っている。
このスタイルがたぶん本来のレディソウルのマナー、つまりアレサやシャカなんかから脈々と引き継がれてきたものだと見なされ、いったんメアリーJがブツッと切ったその流れを再び引き戻したのがアリシアだと考えられているんじゃないですかね。
で、これが「端正なソウルマナー」と呼ばれているものの正体だと思うんです。あくまで仮説だけど。

まあこの「サビ歌い」に限らず、自分で作曲して楽器も自分で弾きながら歌うっていうスタイルをアリシアが「ど真ん中」にしたおかげで、ジョン・レジェンドとかラヒーム・デヴォーンとか、ちょっとマニアックどころだとヴァン・ハントとかの、自作自演派R&Bアーティストががんがんシーンの中央に躍り出てきて、結局は00年代後半のニーヨとかケリ・ヒルソンとかの元「職人」ライターのデビューの流れの布石まで置かれてしまったわけです。いやはやすごい影響力だ。

しかしアリシアキーズは本当に正統派レディソウルの継承者なのだろうか?
僕は違うと思う。デビューアルバムの"Songs In A Minor"(2001)はややブルーアイド・ソウル風味の曲が多かったし(でも良い)、鼻の整形後に発表された"The Diary~"では含有ブラックネスが増量されて印象的なピアノのリフもいろいろがっつりフィーチャーされてる、とはいえ、これも以上述べたような歴史的条件の中「担ぎ出された」感が否めない。
それは第三作の"As I Am"(2007)を聴けばわかる。ここでは既にR&Bというカテゴリに単純に括れない音楽が展開されており、あたかもキャロル・キングのような純粋なシンガーソングライターを志向しているかのようだ。もしくはスティービー・ワンダー/プリンス的な、ブラックというよりカラフルな世界観というか。
まあ間違いなく正統派のソウルからは遠ざかってますよ。
したがって、"The Diary of Alicia Keys"は、彼女のキャリアを通して最もソウル純度が高く、ブラック度も高い初期の作品という扱いになるのだろう。

なんにせよ、アリシア嬢が類稀なブラックミュージックの求道者であることには変わりない。
うーん。まじで彼女と同じ時代に生まれてきてよかった。それも言い過ぎではないくらい、良い音楽を作る人ですね!ジミヘン、スティービーワンダー、JB、スライ、パフ・ダディ、ベイビーフェイスなんかと並ぶアイコンだと思うよ。まじで。

アリシア・キーズのことになるとついつい長くなっちゃいました~wot a nerrrrrrd!
まだまだ語りたいけど、この辺で。

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